本書、「脱炭素化入門シリーズ」:『都市の脱炭素化の実践』は、都市の脱炭素化を新しく学ぶ人たちに、わかり易く解説することを目的としている。本書に先立って発売された「脱炭素化入門シリーズ」第1 弾『都市の脱炭素化』は、様々なトピックを21人の専門家が各章ごとに解説した。第2 弾となる本書では、地方自治体やコミュニティが、都市の脱炭素化を行う際に必要な実践向けのテーマを、より詳しく解説することを目指している。この二つの書籍を合わせて読むことで、都市の脱炭素化を、深く理解することができる。大学の講義でも使用できるように各章は組まれており、questions 等を活用して学生の理解を深めることができる。本書は、1 章から5 章までで構成されており、気候変動と都市の脱炭素化に関する基礎から、地方自治体が行う公共政策、コミュニティによる再生可能エネルギーの活用方法、再エネのビジネスモデル、カリフォルニアの先進的な取り組みを解説している。各章は、3 - 5 つのセクションで区切られており、最初に「この章の位置づけ」で章の概略を示し、「この章で学ぶこと」は、各セクションのテーマを数行で説明している。各セクションには、いくつかのkeywords が示され、関連する小話が「BOX」内で解説されている。セクションの最後のサマリーを読むことで、そのセクションの重要な点を再確認し、questions によって学んだことを再考することで章の内容を定着させることができる。questions の回答例は、巻末に収録されている。各章は、ある程度独立しているため、個別に読んでもかまわないが、最初から通して読むことで都市の脱炭素化をより系統的に理解できる。また、巻末には索引が加えてあるから、単語から本の関連ページを探すことも可能である。
[編著] 小端 拓郎(東北大学) [執筆] 小端 拓郎(東北大学) 田中 信一郎(千葉商科大学) 中山 琢夫(千葉商科大学) 山下 紀明(環境エネルギー政策研究所) 白石 賢司(カリフォルニア大学バークレー校) 日本政府は、2020年10月に2050年までにネットゼロCO2排出社会を目指すことを発表した。これは、今後30年で、社会エネルギーシステムを大きく変革する必要があることを意味する。特に、都市の脱炭素化は、再エネや電気自動車のコスト低下により、住民の暮らしの改善を実現しながら脱炭素化を展開することが可能である。この本は、都市の脱炭素化に向けた戦略形成に必要となる基礎をまとめる。 ●目次● 第1章 気候変動と都市の脱炭素化 セクション❶ 気候変動と脱炭素化 セクション❷ 都市のエネルギーとCO 2 排出 セクション❸ 再生可能エネルギーと技術経済性分析 セクション❹ カーボンニュートラルへ向けたトランジッション 第2章 脱炭素に向けた地域公共政策 セクション❶ 地域の脱炭素計画 セクション❷ 脱炭素条例 セクション❸ 脱炭素まちづくり セクション❹ 拠点の形成 セクション❺ まとめ ― 真のPDCA を回す 第3章 コミュニティによる再生可能エネルギーの活用方法 セクション❶ 再生可能エネルギーの地域付加価値創造分析 セクション❷ 地域による再生可能エネルギー供給 セクション❸ 再生可能エネルギー活用のための世界のイノベーション 第4章 地域エネルギー事業を通じた脱炭素化 セクション❶ 変化するビジネスモデルとプレーヤー セクション❷ 太陽光発電による地域エネルギー事業 セクション❸ 各種の地域エネルギー事業 セクション❹ 地域新電力との統合 第5章 カリフォルニア州における気候変動政策 セクション❶ 長期目標と対策の方針 セクション❷ 政策立案の基本的な考え方:数多くある政策案からどのように選ぶか セクション❸ 具体的な政策の例 セクション❹ 日本は何を学べるか